PLATEA

PLATEA No.15より
過労死 「トラック運転は過酷」
―長距離運転実態調査が実証―
弁護士  高崎 暢
 私たちの「勤労感謝の日」の前日の「過労死デー」の取組みは4年目となった。
*「過労死110番」
 16本の電話。医師・弁護士が共同で相談に応じた。「長期出張から帰ってきて、気分が悪いと昼食を取れず、夕食後倒れて救急車で運び込まれたが心筋梗塞で死亡した57歳の建設作業員の例」、「車の運転中に倒れたが一命をとりとめた59歳の運転手、しかし今も集中治療室で治療中という例」。一方で、「37日間休日もなく、朝5時半からの仕事で疲れて眠れない」(33歳の運送業)といった“働きすぎ”の相談も寄せられ、相変らず労働現場は非人間的な状況である。“働きすぎ”の過労死予備軍に対する手だてが急がれる。その為にも、過労死した者に対する労災認定を早急に認めさせることが必要である。
*「過労死を考える市民集会」
 約100名の市民が参加。ひとつは、現行の過労死の労災認定の見直しの必要性の報告。「労災保険審議会小委員会」は「速みやかに見直すべき」(労働者委員)との意見を排し、「新たな医学的知見が得られた場合は見直しの検討を行う」と認定見直しを先送り。しかし、労働者委員の意見にみられるように、世論は見直しを求め(全国弁護団と家族会の労働省交渉)、右認定基準も多くの判例が否定。又労災保険財政上年間5,000名以上の認定者の増加は可能という試算も出されている。
 今ひとつの報告は、過労死問題研究会が、医師・労働組合の協力を得て行なったトレーラーなど自動車運転労働が身体に与える影響(血圧、脈拍、血中カテコール等)の調査結果であった。走行距離は、一行程で1,245キロメートル、拘束時間が45時間(うち運転18時間36分、荷扱11時間8分)という過酷な労働に加え、運転・荷扱作業時の血圧、心拍数の上昇、トラブル時には280近くまで血圧が上昇した例など報告された。そして、血圧について「24時間血圧平均が高く、臓器合併症を来たしてくることが予測され、道路状況や交通状況によっては血圧の急激な上昇により高血圧緊急症(血圧の著明な上昇により、重篤な合併症が発生し、そのままでは患者の生命が危機に至る場合)も起こしえる」、脈拍についても、「血圧と共に、運転中・重筋労働中の脈拍は上昇し心臓の仕事量を増やす結果となっている。同時に、心室性不整脈が増加した例もあり、高血圧が発症してくる可能性と併せてみると、突然死も起こりえると考えられる」との結論。
 私も右調査に一度だけ参加した。その時の労働実態は、走行距離867キロメートル、拘束時間37時間45分(うち運転17時間28分、荷扱6時間45分)というものであったが、追跡調査だけの私が、30時間をすぎたころから頭がモウロウとなってきた。死なない方がおかしいと実感したが、右医師の報告で、その実感が裏づけられた気がする。
 34歳の若さで死亡した、大型トレーラーの運転手斉藤宏二さんの裁判に、説得的な証拠となりうる調査結果でもある。
 なお、右実態調査は、現在も続けられているが、全てカンパでまかなってきている。是非とも財政的なご協力を!
送金先
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普通口座・327906
名義・実態調査実行委員会
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