PLATEA

PLATEA No.41より
控訴審でも全面勝利!! 〜NTT奥村過労死訴訟〜
弁護士  竹中 雅史

1、「控訴人の控訴を棄却する。」
  7月20日、奥村節子さんらを支援する傍聴人で一杯の札幌高裁の法廷において、裁判所はNTT東日本の控訴を棄却した。主文は簡単だが、その意味は大変重い。2005年3月9日の原審の札幌地方裁判所での全面勝訴に続いて、再び、裁判所は、故奥村さんの死亡と、NTT東日本が故奥村さんに対し、11万人の労働者の大リストラ計画に伴って雇用形態・処遇体系の選択を迫り、会社の大リストラ計画に反対し60歳まで会社に残ることを選択した故奥村さんを長期間の宿泊を伴う研修に参加させたこととの間には相当因果関係があると断じたのである。研修に参加させたことを中心に相当因果関係があるとした原審よりも、大リストラによる雇用選択によるストレスにまで踏み込んだ実に的確な指摘であり、かつ、大リストラは労働者に対しストレスなどは与えないという会社の非常識な主張を全面的に排除する、痛快な判決でもあった。

2、小泉内閣が進めた構造改革・規制緩和路線は、正社員の大幅削減と非正規雇用の拡大を招いている。世界的大企業であるNTTの大リストラ計画はこの路線と軌を一にしており、50歳以上の労働者に対し、30%の賃金カットを呑んで子会社に移籍するか、職種や勤務地の変更を甘受してNTTに残るのかの選択を迫るという、違法なリストラ計画であった。
  このリストラ計画の中で、心臓に既往症があり原則として残業も宿泊出張も禁止されていた故奥村さんは、先行する「改革」によって時間外労働が増加し、雇用選択に際しては、深刻に悩み、それが、ストレスとなって自律神経の異常を伺わせる様々な症状を生んでいた。しかし、会社は、大リストラに反対する労働者に対する「見せしめ」として、新規業務の習得のためだと称し、宿泊環境も劣悪な研修への参加を強要したのである。
  結局、この研修への参加が引き金となって、故奥村さんは、死亡したのである。NTTの大リストラによって、殺された犠牲者であった。

3、日本を代表する大企業NTTは、病んでいる。全国で訴訟となっている違法なリストラ(注)だけでなく、厚生労働省から問題を指摘された企業年金の大幅削減など、そのなりふりかまわない無法ぶりは、異常の一言に尽きる。実は、大リストラ計画も既に見直されているが、その見直しは、企業の生き残りのためだけものであり、そこに働く労働者の人権は、「負け組」として無視され続けている。
  このようなNTT、そして、我が国の大企業が競う様に進める労働者無視のリストラ計画に対し、その誤りを明らかにしたのが、この奥村判決の大きな意義である。
  私たちの闘いはまだ終わってはいない。
  憲法がその理想とする全ての国民が平和で人間らしい生活を実現できる社会の実現のために、これからも頑張り続けたい。

(注)9月29日、札幌地方裁判所民事第五部で、全国で最初にリストラ裁判の判決が出されます。

『サービス残業オンブズマン』を刷新! ―ただ働き一人当たり年214時間―
弁護士  齋藤 耕

 北海道過労死問題研究会は、2004年1月から、「サービス残業オンブズマン」活動を始めた。その目的は、過労死の温床となっているサービス残業をなくそうということである。
  オンブズマン活動は、従業員や家族からの情報提供に基づき、弁護士の名前(従業員の名前は出ない)で、労働基準監督署に長時間労働をやめさせるように指導を求める「通告」手続、従業員の代理人として、会社に未払賃金を請求し、刑事告訴(未払いは立派な刑事事件です)などをする。
  これまで、オンブズマン活動には62件の相談が寄せられ、15件通告し、14件未払賃金請求(回収総額は約5000万円)、過労死事例3件という実績がある。
  過労死事例が後を絶たず、ただ働き(サービス残業)時間が、1人当たり200時間を超えている時、オンブズマン活動は重要である。
  そこで、オンブズマンの担当者を補強するなどその要請に応える体制を取った。
  広く利用されることを望む。

オンブズマン窓口
電話受付(月曜日から金曜日まで、午前10時から午後5時まで)
FAX受付(24時間)
  電話・FAX番号:011-261-1119
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